南海トラフは、徳島ではもう起きている。
徳島県のBCP(事業継続計画)── 県内の災害リスクと、建物が無事でも事業が止まる経路を確かめるページです。
——1946年12月21日 午前4時19分。
1946年12月21日、午前4時19分。昭和南海地震(M8.0)。冬の夜明け前で、多くの人が眠っていました。
県南では、地震のあとに来た津波による被害が大きくなりました。
徳島の沿岸には、1380年、1707年、1854年、そして1946年——津波のたびに、碑が立てられてきました。 牟岐小学校の前にも、その一つが立っています。
次は「もし」ではありません。記録の続きです。
そして県南の港では、揺れてから津波の影響が始まるまで、最短4分。
あなたの会社のBCPの1ページ目は、「事業をどう続けるか」ではなく、「誰が、何も待たずに、避難を始めるか」から書かれているでしょうか。
徳島県のリスク全体像
1. 1946年の記録
昭和南海地震による徳島県の死者・行方不明者は211人、住家の全壊1,076棟、流失536棟。県南では、海陽町浅川で85人の方が亡くなり、牟岐町でも家屋が流失し、多くの命が失われました。被害のほとんどは津波によるものです。そして県の2026年の被害想定では、冬の深夜に発生した場合の最大ケースで21,700人(うち津波が18,000人)の方が亡くなるとされています。心より哀悼の意を表します。
2. 数字で見る最大のケース(2026年の県被害想定)
| 指標 | 想定値 |
|---|---|
| 全壊・焼失 | 81,100棟 |
| 断水(直後) | 約59.1万人(断水率87%) |
| 停電(直後) | 約42.7万軒(停電率99%) |
| 孤立の可能性がある集落 | 136集落 |
| 道路の被害 | 1,660か所 |
| 港湾の被害(バース) | 岸壁60・その他係留施設160 |
1週間後も、断水は約29.9万人、停電は約13.3万軒が残る想定です。
「数日しのげば戻る」という前提は、この数字とは合いません。
3. 津波の到達時間 —— 県南の「4分」
| 地点 | 津波の影響開始(±20cm) | +1m到達 |
|---|---|---|
| 海陽町 鞆浦漁港口 | 5分 | 8分 |
| 美波町 日和佐港口 | 4分 | 13分 |
役員の承認。電話連絡。PCのシャットダウン。客の精算。
4分では、どれも間に合いません。
承認を待つ形のBCPは、県南では機能しません。
2025年には県独自の津波浸水想定が公表され、2026年3月には津波災害警戒区域が指定されました(徳島市・鳴門市・小松島市・阿南市・牟岐町・美波町・海陽町ほか)。
自社で確認すること: 自社の住所、駐車場、倉庫、配送先が、区域に入っているか。
4. 五つの止まり方
徳島の止まり方は、地域と業種で五つに分かれます。
| 停止像 | 主な地域 | 最初の問い |
|---|---|---|
| 津波と、短い避難時間 | 海陽・美波・牟岐・阿南・小松島・徳島・鳴門 | 誰が指示を待たずに操業を止め、来訪者をどこへ逃がすか |
| 河口低地の複合浸水(津波×洪水×内水×液状化) | 徳島市・松茂・北島・鳴門・小松島・阿南 | 一枚の浸水地図だけで判断していないか |
| 山間の道路分断・孤立 | 三好・那賀・神山・上勝・海部郡 | 最後の一本の道路が使えないとき、燃料と人は何日持つか |
| 化学・電子の供給連鎖の停止 | 阿南・徳島・鳴門・沿岸工業地 | 工場が無事でも、水・保安・物流・顧客の受入れのどこで止まるか |
| 港湾・道路・JRの同時停止 | 徳島小松島港・橘港・富岡港ほか | 物流2社が、同じ港・同じ高速に依存していないか |
吉野川の洪水浸水想定は、想定し得る最大規模の降雨を前提にしています。
ただし、洪水の地図には支川・内水・高潮が反映されていない場合があります。 一枚では足りません。
被害がなくても、あなたの会社は止まる
徳島は、南海トラフだけの県ではありません。 「大雨」だけで道路・鉄道・生活・事業が止まってきた記録があります。
2009年 台風9号 —— 浸水は73棟。止まったのは県全体
道路の規制は90か所。JRは土讃線・徳島線・牟岐線・高徳線・鳴門線が運休しました。
床上浸水は73棟にとどまります。それでも県内の移動と物流は、その何倍もの範囲で止まりました。
事業所が無傷でも、通勤と配送は止まります。
2014年 台風12号 —— 雨が「積み上がる」災害
8月1日から6日までの総雨量は、三好市京上で705ミリ、上勝町福原旭で693ミリ。床上浸水は251棟。
雨が積み上がる災害では、「避難情報より前に止める判断」の時刻を、先に決めておく必要があります。
2014年12月 大雪 —— 温暖な県の、山間部
三好市で521世帯、つるぎ町で293世帯、東みよし町で50世帯が孤立し、停電は最大3,372戸に達しました(平成26年12月8日17時現在・徳島県調べ)。
温暖な徳島のイメージの裏で、山間部は「復旧を待つ時間」を資金と物資で耐える地域です。
そして2024年 —— 前提が変わりつつある
2024年の台風10号は、線状降水帯を伴う大雨をもたらし、県内でも被害が出ました。
「通常より遅く動き、長く降る台風」を、新しい前提として置く必要があります。
動き続ける条件
建物の損壊がゼロでも、道路規制90か所で配送は止まり、JR5線の運休で従業員は出社できず、864世帯の孤立で山の顧客と仕入先が消えます。
BCPが守るのは建物ではありません。「動き続ける条件」です。
二つの読者へ
現在地
全国のBCP策定率は21.4%です。徳島県の「策定意向あり」(策定済み・策定中・検討中の合計)は42.5%で、全国の50.5%を約8ポイント下回ります(帝国データバンク 四国地区版・2026年7月3日公表・調査は2026年5月18〜31日)。
この値は、調査に回答した県内企業の集計です。県内の全企業の推計ではありません。
徳島県の数値は回答企業66社の割合であり、県内全企業の推計ではありません。
まだ策定していない会社へ
未策定の理由は、全国の調査で「スキル・ノウハウがない」42.2%、「人材を確保できない」33.5%、「時間を確保できない」28.1%でした。
意識の問題ではなく、資源の問題です。だから、道具で解決します。
そして徳島では、長い計画書より、最初の一枚です。
- 沿岸なら「避難の一枚」 —— 誰が、どこへ、何分で。
- 山間なら「孤立の一枚」 —— 燃料・食料・通信・現金の日数。
- 製造なら「安全停止の一枚」 —— 戻らずに止める仕組み。
自社がどれに当たるかは、住所と業種で決まります。
国の事業継続力強化計画は、県内の累計認定が1,900件を超えています(令和8年7月末時点)。低利の融資、信用保証の別枠、防災・減災投資への税制措置と接続しています。
策定済みだが、動く自信がない会社へ
あなたのBCPの発動条件は、「対策本部の設置」から始まっていませんか。
県南の津波は、本部の設置を待ってくれません(最短4分)。
3つ、点検してみてください。
- 津波・洪水・高潮・内水のうち、何種類の地図で設備と在庫を確認しましたか。一枚だけなら、更新が要ります。
- 「誰も設備を止めに戻らない」ことを前提にした安全停止が、書かれていますか。
- その計画を、訓練で1回でも回しましたか。
3つ目が気になった方へ。徳島県の企業BCP認定制度は、書面審査とヒアリングで「実践力」を審査します。 次の目標地点として使えます。
徳島県の支援リソース
| リソース | 内容 |
|---|---|
| 徳島県企業BCP認定制度 | 「実践力の高い」BCPを、書面審査とヒアリングで県が認定します。県独自の企業BCP認定制度では、2014年度から2024年度までに33件が認定されています。地震防災対策資金の保証率の軽減、企業立地補助金の加算、認定ロゴの使用があります。 |
| 徳島県建設業BCP認定制度 | 一定規模以上の土木一式工事の総合評価で、入札の加点があります |
| 事業継続力強化計画 | 国(中小企業庁)の認定制度。県内の累計認定は1,900件を超えています。税制措置、金融支援、補助金審査上の加点などがあります |
| 県の企業防災ガイドライン・ステップアップガイド | 県のBCP策定マニュアル、セミナーや相談会、個別訪問による支援。「一人で書かなくていい」根拠です |
| 県外中央会との災害時相互支援 | 県中央会を経由した、県外との相互支援の枠組みです。同じ災害圏に入らない支援先の実例になります |
| 県の防災・減災マップ/総合地図提供システム | 津波・洪水・土砂・避難場所を、住所単位で重ねられます |
書面審査とヒアリングで実効性まで見る県の認定制度は、多くありません。 徳島には、それがあります。
事業継続力強化計画の認定や、補助金・融資などの可否は、各制度の要件と審査によります。BCP-AIで作成した計画がそれらを保証するものではありません。本ページの認定件数は、BCPを策定した企業の割合や利用者数とは別の数値です。
4分では、承認は取れません。
だから徳島のBCPは、「事業をどう続けるか」ではなく「誰が、何も待たずに、避難を始めるか」から書きます。
BCP-AIは、所在地や業種などの質問に答えるだけで、自社のBCP(事業継続計画)の初版を作成できます。
沿岸か、山間か、製造か。最初の一枚は、そこで変わります。