2018年、大阪は2度止まった。地震で朝が、台風で港が。

大阪府のBCP(事業継続計画)── 府内の災害リスクと、建物が無事でも事業が止まる経路を確かめるページです。

2018年6月18日、午前7時58分。大阪府北部でマグニチュード6.1の地震が発生し、大阪市北区、高槻市、枚方市、茨木市、箕面市で震度6弱を観測しました。住家の全壊は21棟、半壊は454棟、一部破損は約5万7千棟でした。しかし通勤ラッシュを直撃した鉄道の全面運転見合わせで朝の移動が止まり、夜まで帰宅困難が続きました。高槻、茨木など4市の約11万2千戸では、都市ガスが最大6日間止まりました。

その約3か月後の9月4日、台風21号が上陸。関空島で最大瞬間風速58.1m、大阪市で観測史上最高の潮位329cmを観測し、関西国際空港は滑走路が浸水、タンカーが連絡橋に衝突して、人と貨物の出入口が細りました。関西電力管内では延べ約220万軒が停電し、復旧が完了したのは9月20日でした。

どちらの日も、止まったのは、電車、電気、ガス、空港、道路でした。

次に想定されている南海トラフ巨大地震では、府の想定(2014年1月公表)で断水は約832万人(給水人口の94%)、停電は約234万軒、帰宅困難者は約146万人。「自社が無事なら仕事は続く」という前提は、大阪では成り立ちません。

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「大阪は南海トラフが危ない」では、何も決められない

大阪府の南海トラフ想定で、建物全壊17万9,153棟の内訳を見ると、最も多いのは揺れ(1万5,375棟)ではなく、液状化の7万1,091棟です。次いで地震火災の6万1,473棟、津波の3万1,135棟。大阪のリスクは「揺れに耐えるか」より先に、「自社・倉庫・取引先の住所の地盤と水」で決まります。必要なのは府平均の危機感ではなく、自社、倉庫、配送拠点、従業員の通勤経路の住所で、震度、液状化、津波、高潮、洪水を重ねて確かめることです。

カード1: 液状化・津波 —— 大阪の地震被害は「地盤と水」から

全壊想定の内訳で最も多いのは液状化です。湾岸と低地の事業所は、耐震化だけでは足りません。

津波による死者は、早期避難率が低い場合で13万2,967人、避難迅速化の場合で7,882人と想定されています。

「地震のあと、誰がいつ避難を指示するか」「帰社してから判断しない」を、先に決めてください。数値は府域全体の最大ケースであり、個別の企業の被害予測ではありません。

カード2: ライフライン同時停止 —— 全域が同時に止まる型

断水人口は832万人(給水人口の94%。約40日でほぼ解消)、停電は234万軒(約55%)、基地局の停波率は48.5%。道路の被災1,883か所、鉄道の被災1,474か所、港湾の係留施設の被災159か所。

「自社の住所は浸水域の外だから大丈夫」を否定する数字です。発災後1日、1週間、1か月で残す業務を、先に決めてください。

カード3: 高潮 —— 「浸水深」だけでなく「浸水が続く時間」

府は、大阪湾沿岸の最大規模の高潮について、浸水区域、浸水深、浸水継続時間を公表しています。想定は、室戸台風級(910hPa)に潮位偏差が最大となる経路、河川洪水の同時発生、堤防などの決壊を重ねた最悪の条件です。

2018年の台風21号では、大阪市で観測史上最高の潮位329cmを記録しました。

港湾、倉庫、工場、物流施設、空港関連は、自社だけでなく、賃借倉庫、委託倉庫、配送拠点、主要仕入先の住所も確認の対象です。

カード4: 暴風 —— 浸水域の外でも、屋根と電線が止める

台風21号の府内の被害は、住家の一部破損約65,932件、非住家の被害約2,446件。沿岸の浸水域だけでなく、府内の広い範囲で被害が出ました。

府内で広い範囲の停電(関西電力管内では延べ約220万軒)、復旧完了は9月20日。「浸水しない住所」でも、電気、通信、従業員の自宅は止まります。

ハザードマップ: 大阪府 高潮浸水想定区域図/大阪府 南海トラフ巨大地震の被害想定(市町村別資料)/市町村の防災マップ

大阪はもう、「無傷でも止まる」を2回経験している

AIで生成したイメージ画像。水門のある川と岸辺の倉庫と高架道路。
AIで生成したイメージ画像です(実在の風景ではありません)。

朝7時58分、全員の足が止まった —— 2018年6月、北部地震

通勤ラッシュを直撃した鉄道の全面停止で、夜まで交通の混乱が続き、帰宅困難が発生しました。エレベーターの閉じ込めは、近畿の2府3県で343件にのぼりました。高槻、茨木など4市の約11万2千戸では都市ガスが最大6日間止まりました。

南海トラフの帰宅困難者の想定は、約146万人です。「地震が起きたら出社する」という前提を置かないでください。出社、待機、帰宅、在宅の基準と、本社と連絡がつかないときの判断権限を、先に決めてください。

港と空港が止まれば、府内全域の商流が細る —— 2018年9月、台風21号

関空は、滑走路の浸水と連絡橋への船舶衝突で機能を停止しました。府内で広い範囲が停電し、復旧完了は9月20日。受発注、決済、冷蔵冷凍、生産設備は、「自社の建物が無事」でも止まりえます。

単一の空港、港、連絡路、幹線への依存は、船舶の衝突のような自然現象以外の二次的な事故でも増幅します。代替ルート、代替輸送、復旧の見通しが立たないときの在庫と顧客連絡の方針を、先に言葉にしてください。

全域停止型の想定 —— 隣も、取引先も、同時に被災する

断水94%、停電55%という府の想定は、「無事な自社」に水も電気も来ないことを意味します。大阪市には府内の事業所の48.47%、従業者の50.98%が集中しており、都心の本社、卸売、決済、情報処理の停止は、府内の約半数の事業と雇用に直結しえます。

国土交通省近畿地方整備局の「大阪湾BCP」(41機関・2026年3月改訂)は、緊急物資と国際コンテナを優先して港湾活動の停滞を短縮する枠組みですが、港が即時に通常営業へ戻ることを保証するものではありません。港を使う企業は、復旧の優先順位、搬出入の制限、通関、倉庫、陸上輸送との接続、代替港を、自社の取引条件として確認する必要があります。

二つの問いかけ

2度止まった街で、まだ計画がないのは——珍しいことではありません

帝国データバンクの2026年近畿地区調査では、近畿の企業でBCPを策定済みなのは20.5%、未策定は39.6%。全国では、大企業の39.9%に対し、中小企業は18.3%です。

策定していない理由は、全国調査で「スキル・ノウハウがない」42.2%、「人材を確保できない」33.5%、「時間を確保できない」28.1%。意識の問題ではなく、経営資源の構造的な問題だと、帝国データバンク自身が分析しています。

最初の一歩として、BCP-AIで初版を作るところから始められます。

近畿地区調査は2府4県3,331社を対象に1,603社が回答したもので、大阪府単独の策定率ではありません。

その計画、6月18日の朝と9月4日の夜に、開きましたか

次に鉄道が全面停止する朝、誰がどのように全社員へ指示を出しますか。港と空港が2週間使えないとき、どの貨物を優先しますか。

事業継続力強化計画(ジギョケイ)の府内の認定は、累計7,800件を超えています(うち連携型140件超。2026年8月末時点)。

大阪には、「まず一枚」から始める府の型がある

超簡易版BCP「これだけは!」シート。府は、A3一枚で初動、連絡、重要業務など最低限を決める超簡易版のBCPシート(自然災害対策版・新型コロナウイルス感染症対策版)を無償で提供しています。

「BCP策定大阪府スタイル」。府と近畿経済産業局は、事業継続力強化支援の連携協定を結び、「これだけは!」シートの策定と、国の事業継続力強化計画の認定取得を両方行う進め方を推進しています。

商工団体との連携網。府内の商工会・商工会議所と連携したBCPセミナーとワークショップ。大阪府商工会連合会の「BCP策定支援制度」。組合BCPへの専門家派遣もあります。

身近な相談先。商工会・商工会議所(府内各地)、大阪府商工会連合会に加えて、大阪商工会議所と大阪府よろず支援拠点(大阪産業局)が、経営相談の窓口です。

港湾・物流の枠組み。大阪湾BCP(41機関・2026年3月改訂)。港湾を利用する企業は、自社のBCPとの接続(復旧の優先順位、代替港)を確認してください。

BCP-AIで作った初版を持って、商工会・商工会議所や大阪商工会議所のセミナー、府の支援窓口、大阪府よろず支援拠点に相談することもできます。

事業継続力強化計画の認定や、補助金・融資などの可否は、各制度の要件と審査によります。BCP-AIで作成した計画がそれらを保証するものではありません。本ページの認定件数は、BCPを策定した企業の割合や利用者数とは別の数値です。

AIで生成したイメージ画像。高架の電車の下で運河の橋を渡る人々。
AIで生成したイメージ画像です(実在の風景ではありません)。

次に電車が止まる朝までに、決めておきませんか。

BCP-AIは、所在地や業種などの質問に答えるだけで、自社のBCP(事業継続計画)の初版を作成できます。

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