停電8割。断水76万戸。全港湾停止。——2011年3月11日、茨城。

茨城県のBCP(事業継続計画)── 県内の災害リスクと、建物が無事でも事業が止まる経路を確かめるページです。

東日本大震災で、茨城県内は最大震度6強を記録しました。県の記録では、直後に県内の8割が停電し、断水は約76.4万戸。復旧までに57日かかっています。

全港湾は一時停止し、県内の鉄道が全線で動き出すまで最長4か月。建物が残った会社でも、事業はこれだけ長く止まりました。 それを示しているのは、県自身の記録です。

最初のBCP草案づくりは、今日から始められます。

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茨城のリスク全体像

茨城のリスクは「地震と水害」の二語では足りません。県は7つの想定地震を設定しており、被害の大きい3つの想定では、停電率84〜86%・断水率86〜87%となるケースを示しています。加えて茨城には、鹿島港という県経済の主要な入口があります。

カード1: 地震・津波・液状化 —— 7つの想定地震

県は、県南部の首都直下型、県北部の内陸型、そして海溝型を含む7つの想定地震を設定しています。被害が大きい3つの想定地震では、停電率84〜86%・断水率86〜87%というケースが示されています。

東日本大震災では、沿岸10市町村で最高6.9メートルの津波を観測し、36市町村で液状化が発生しました。県内の死者・行方不明者は67人です。亡くなられた方々に、心より哀悼の意を表します。

被害の大きい想定では、県内の電気と水の8割以上が止まるケースが示されています。

自社で確認すること: 県平均ではなく、自社の住所での震度・液状化・浸水深。県の震度予測マップで引けます。

カード2: 鹿島港・鹿島臨海 —— 県経済の主要な入口

鹿島港の2024年の取扱貨物量は約5,388万トン(県の速報値)。鹿島臨海工業地帯の原材料と製品が出入りする港です。

港が止まるということは、製鉄・化学・石油・飼料・食品の原料受入と、鋼材・化学品の出荷が同時に止まるということです。東日本大震災では全港湾が一時停止し、県内全港の一部再開までに13日かかりました。

港を使っていない会社も、港を使う会社の顧客か仕入先です。

自社で確認すること: 鹿島港を経由する原料と製品。代替の港、陸送、在庫日数、優先する顧客。

カード3: 洪水 —— 鬼怒川2015が示した「行政も止まる」

2015年9月の関東・東北豪雨で鬼怒川の堤防が決壊し、常総市の約3分の1が浸水しました。市役所の1階も冠水し、災害対応の拠点そのものが被災しています。

浸水したのは川沿いだけではありませんでした。証明、窓口、道路情報という「復旧の入口」も水に浸かったのです。

自社で確認すること: 契約、保険、台帳、連絡先。拠点の外からでも確認できる状態になっていますか。

建物が無事でも、あなたの会社は止まる

AIで生成したイメージ画像。田園に囲まれた臨海工業地帯と掘り込み港の空撮。
AIで生成したイメージ画像です(実在の風景ではありません)。

BCPというと「建物が壊れたときの計画」と思われがちです。しかし2011年の茨城が経験したのは、その逆でした。拠点が残った会社でも、電気・水・港・線路・燃料・通信が返ってくるまで、事業は動かなかったのです。

県の業務継続計画に残る記録から、その時間差を見てください。

ライフライン 2011年の記録 事業への翻訳
電力 直後に県内8割が停電。全域の送電完了は7日後 冷蔵・サーバー・生産設備は、1週間分の代替を持っているか
燃料 供給の正常化に約2週間 発電機は「燃料が続く日数」でしか動かない。配送車両も同じ
港湾 全港湾が一時停止。県内全港の一部再開まで13日 到着済み原料と出荷待ち製品の在庫日数が、事業の持ち時間
通信 通話規制で発災後約11時間つながりにくい状態 安否確認と受発注を、スマートフォン1本に依存しない
水道 断水約76.4万戸。復旧まで57日 工業用水・洗浄・トイレ・食品衛生は、2か月弱の断水に耐えるか
鉄道 全路線が運休。再開まで最長4か月 通勤と出荷の「通常便」を前提にした計画は、4か月で破綻する
道路 高速道路の県内全区間開通まで10日、国直轄国道の通行止解除まで12日 代替経路と、走れない期間の出勤・納品の判断基準

港の停止は内陸に及ぶ

鹿島港の輸入は、鉄鉱石・石炭・原油などが中心です。港を直接使わない会社も、電力(石炭)、素材(鋼材)、化学品、飼料の供給網でつながっています。

従業員は「無事」でも戻れない

全壊2,634棟、半壊24,994棟、一部破損191,490棟。自宅の被災と家族への対応で、拠点が無事でも要員は揃いません。

行政も同時に被災する

常総市では市役所の1階が冠水しました。被災証明、道路情報、窓口が「すぐ使える」とは限りません。

これらはすべて、想定ではなく茨城で起きた記録です。次に同じ時間差が起きたとき、あなたの会社は「何日目に、何を、誰の判断で」動かしますか。

二つの読者へ

まだBCPがない会社へ —— 「策定するつもりはある」45.6%、「策定した」20.9%

TDBの2026年調査で、茨城県内の策定済みは20.9%でした。全国の21.4%をわずかに下回ります。策定の意向がある企業は45.6%で、こちらは全国の50.5%との差がより大きくなっています。

未策定の理由は、全国調査で「スキル・ノウハウがない」42.2%、「人材を確保できない」33.5%、「時間を確保できない」28.1%が上位でした。意識ではなく、資源の問題です。

茨城県の数値は回答企業158社の割合であり、県内全企業の推計ではありません。

最初の一歩として、BCP-AIで初版を作るところから始められます。

BCPは「ある」会社へ —— その計画に、「県内の港が13日止まる」は書いてありますか

茨城の製造業は策定済み29.3%、運輸・倉庫は26.7%と、全体を上回っています。しかし策定の有無と、港・電力・水・原材料・顧客工場が止まった日に動く計画かどうかは、別の問題です。

3つ、即答してみてください。

  1. 断水57日、停電7日、鉄道4か月。この2011年の実績値で、自社の計画は破綻しませんか。
  2. 鹿島港を経由する原料と製品について、代替港・陸送・在庫日数・優先顧客が書いてありますか。
  3. 原子力災害時の屋内退避や避難で、従業員の何割が出勤できなくなるかを想定していますか。

国の事業継続力強化計画は、県内の累計認定が2,400件を超えています(令和8年7月末時点)。ただし認定の件数が、計画の実効性を保証するわけではありません。訓練、電源、水、代替物流まで含めた見直しの入口として使ってください。

茨城でBCPを進めるための地元リソース

BCPは、BCP-AIの初版だけで完結させる必要はありません。茨城には、無料で使える相談先・地図・制度があります。

リソース 内容
茨城県「事業継続計画(BCP)について」(産業戦略部中小企業課) 中小企業BCP策定運用指針、融資制度などの案内。県の公式な入口
茨城県「事業継続力強化計画」案内ページ 県内の商工会・商工会議所でのセミナー、相談会、策定支援。中小機構の無料オンラインセミナー、関東経済産業局の窓口
事業継続力強化計画の認定メリット 防災・減災設備の税制措置、金融支援(日本政策金融公庫の低利融資・信用保証の別枠)、補助金審査上の加点
茨城県「地震被害想定について」ページ・震度予測マップ 7つの想定地震の震度・液状化・津波の資料。自社の住所で確かめる導線
鹿島港湾事務所「鹿島港統計年報」 品目別・相手港別の貨物統計。港湾への依存を自己診断する素材

事業継続力強化計画の認定や、補助金・融資などの可否は、各制度の要件と審査によります。BCP-AIで作成した計画がそれらを保証するものではありません。本ページの認定件数は、BCPを策定した企業の割合や利用者数とは別の数値です。

AIで生成したイメージ画像。堤防に挟まれた川と橋、水田と集荷場のトラック。
AIで生成したイメージ画像です(実在の風景ではありません)。

港が13日、鉄道が4か月。次に止まる前に、最初の草案を。

BCP-AIは、所在地や業種などの質問に答えるだけで、自社のBCP(事業継続計画)の初版を作成できます。完璧な計画ではなく、「何日目に、何を、誰の判断で動かすか」の最初の一枚から。

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